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メディテーション 呼吸法 生命は呼吸である。そして呼吸は生命である。息が続く事により人は生きるのである。 人が亡くなる時に「息を引き取りました」と言うように。人生の積み重ねとは呼吸 の積み重ねであり、けっして一つの息も無駄にしてはいけない。20世紀の西洋思想 において呼吸とは一種独特の変わったような物と捉えられてきた。一方インドのヨガ の世界では呼吸とは生命そしてエネルギーの源として信じられている。また人の一生 において呼吸の数が決まっていて、一呼吸するたびに身体機能の停止つまり死に近づ いていると言う思想がある。また日本でも「息が合う、息を抜く、息が長い」のよう にたくさんの言葉がある事からも先人たちが呼吸をいかに重要なものとしてきたかが わかる。

正しい呼吸法とは浅い胸式呼吸でなく腹式呼吸である。乳児の呼吸を見ればわかるで あろう。健康な乳児はゆっくりとしたリズムで腹を膨らまし、へこましながら自然に 深く呼吸をしている。息を吸う際に横隔膜を下ろし、腹を外に出すようにしてエネル ギーを自分の体に注入するイメージで行う。息を吐く際は横隔膜を上げながら肺の中 の空気を排出し腹をへこませる。このように正しく行えば波が砂浜に打ち上げるよう に腹が滑らかに動くのがわかるであろう。

基本的に殆どの人が速くそして浅い呼吸をしている。つまり肺の中にある悪く古い空 気が排出されずに残ったままで、血液中の酸素の交換も十分に行われていないのだ。 これは脳や神経システムにも十分に酸素が行き届いていない事を意味する。その結果 身体のみならず精神、情緒に影響が及ぶ。

一般的に休息時において一分間に15回から18回の呼吸のサイクルを繰り返してい る。これで心地よいとしても座禅においては速すぎる。経験者では5回もしくはそれ 以下のサイクルで呼吸できる人もいる。

そして呼気が吸気の2倍の長さであるべきである。これによって肺の中にある古い空 気を十分に排出する事ができる。呼気が正確に行われていれば次の吸気が自動的に始 まる。そして呼吸は常に鼻を通じて静かに行なう。あごはリラックスし、口は閉じる 。舌は上顎に軽くつける。

呼吸をへそから指四本分下辺りに落とす。その部分を武道では「丹田」と呼ぶ。丹田 が手足そして身体全体を動かす中心となる。そして呼吸を腹に落とすにはまず正しい 姿勢が重要である。姿勢が良ければ呼吸も良くなる。背骨を真っ直ぐ伸ばし腹筋を緩 める。基本的に胸は使わずに固定されているだけで全ては丹田を通して行う。丹田は 力の源なのだ。試し割りを行うにせよ丹田の使い方が重要である。

息を吐くとき人間の身体は強い−例えば板を割る時でも、相手を投げる時でも、腹を 殴られるときでも、息を吸う人はいないであろう。 息を吸うときは力も出ないし、 身体は弱い状態だ。空手では蹴りや突きを放つときに気合を発する。つまり息を吐く とともに技を出すのだ。これによって力を最大限に生かす事ができる。これは座禅の みでなく動きの中での正しい呼吸法だ。 

一日一生 One Day One Lifetime (中村忠著 英語版 主婦の友社)から抜粋